【水野葉子さん】
1997年8月に設立したJOIA(日本オーガニック検査員協会)の初代理事長としてオーガニック検査の技術指導等に携わると同時にオーガニック食品の普及に力を注ぐ。
家庭菜園歴36年。BLOFで栽培を始めて4年近く。
(左から、インタビュアー:三澤明久 オブザーバー:小祝政明/藤田雅一)
(三):水野さんこんにちは。今日はよろしくお願いします。
今年はジャパンバイオファーム家庭菜園肥料のモニターとしていろいろなことをお願いしました。
本当にありがとうございました。
(水):こちらこそ本当にいろいろなことを教えていただいてありがとうございました。
ゴミ袋での太陽熱養生の仕方など画期的だと感じました。
(三):水野さんがプランターで太陽熱養生しているフェイスブックの記事を見て思いついたんです。
(水):改良してくださったんですね。有機栽培をBLOFでやりたいと思っていてもアパートなどでベランダしかなく、ポット栽培しかできないという方にもBLOF理論の栽培ができるということが実証されてとてもよかったと思います。
(三):プランターごとゴミ袋に入れてしまうのもありなんですが、ゴミ袋に土を入れてやると確実かなと思います。
(水):知り合いがアパートでズッキーニをやって大きくなりすぎて、二度とやらない!て言ってました。(笑)
(三):水野さんと今年春にお知りあいになったばかりの頃、「ズッキーニはやりたくない」って、水野さんも言ってましたね。昨年はぜんぜん実がつかなかったからって。
大丈夫ですよとオススメさせてもらいました。
(水):そうでしたね!教わった通りにBLOFでやったら、毎日のように穫れて食べきれないぐらいでした。来年も必ずつくります。
(三):それは良かったです(笑)
(水):アパートなどのベランダでポット栽培で出来るものと、育てづらいものを本やセミナーで紹介していただけるとよいですね。
オクラも今までは比較的浅い鉢でやってたんですが、三澤さんに教えていただいて深めの鉢でやったらうまくいきました。
どの作物がどんな鉢が適しているのかも紹介していただけるとよいですね。
(三):だいたいのものは栽培できちゃんですよ。スペースの問題だけで。
7Lという小さなプランターで、今年見事なミニトマトとパプリカを栽培された大川さんという方がいます。
プランターのサイズが小さいと、根を張れるスペースも狭いので、それに合わせた木の大きさや実の量にはなりますが、家庭菜園なら十分楽しめますよ。
(大川万里さん栽培のミニトマトとパプリカ)
(水):そうなんですね!知り合いにもおすすめしておきます。
(三):真夏の暑い時期に、プランターにアルミホイールを巻いたのも良かったですね。
(水):そう!小祝さんに教えてもらって。
(三):プランンター栽培の最大の敵は、夏の暑さなんですよね。アルミホイールで光を反射すれば中が涼しくなる、というやり方を小祝さんから聞いたとき、僕も目から鱗でした。
(水):ほんと!こんな簡単な方法で、元気になりました!
(三):ところで、水野さんは、たしか家庭菜園歴36年だったと思います。相当な経験年数ですね。
(水):年数は長いんですが、いかに何も知らなかったかが良くわかりました。
(三):20年くらいは伊豆で家庭菜園をやられていたんですよね。
数年前に小祝さんのBLOFプロジェクトのミーティングでフォトシンセシスの高橋さんと知り合い、BLOFをやる気になられたということでしたね。
(水):最初に小祝さんのセミナーを聞いてなかったら、有機農業は難しいなあ、だけで終わっていたかもしれません。
それから高橋さんとお話しして、この方は農業をすごくわかってらっしゃる方だ!と思い、勉強したいと思いました。
そして高橋さんの講座を受けることになりました。
(三):2年半前に高橋さんの講座を春・秋と受講されて、それまでと栽培方法がガラッと変わりましたか?
(水):ほんとに、まったく変わりました。やっと有機栽培が理解できたっていう感じでしたね。
今までは有機栽培の本や、オーガニックの本をいろいろ読んで栽培していたのですが、今ほどおいしい野菜ができたことはなかったですね。
植物の生理とかがわかった感じがしています。野菜だけじゃなく、バラもBLOFで育てたバラは全然虫がつかないですね。
あと、ゴムの木もシソ(大葉)の葉も元気に育ってますよ。
(三)バラやゴムの木、シソ、それぞれ相談の連絡いただきましたね。
(水)教えてもらったとおりにやったら、すっかり元気になって、驚きました。
孫たちも野菜に接することができているし、自分で育てた野菜を喜んで食べているので本当に良かったと思います。
私は28年くらい有機認証の仕事をしていますが、農家の方の土づくりの苦労の話を聞くと、本当に大変だなあと思うことが良くあります。
(三):フォトシンセシスの高橋さんの講座を卒業されて、学んだことを活かして、最近はご自分で栽培されてたということですね。
今年はBLOF家庭菜園モニターもお願いしましたが、昨年と比べていかがでしたか?
(水):良いことばっかりです。私は基本放任ですが、すべてよく育っています。
(水):悩みはタネですね。いつも余ってしまって。家庭菜園用の小袋サイズがあるとよいですね。
量が多いので一袋全部撒くと間引きが大変ですし。
高橋さんからも、「間引きをさぼったらいけませんよ!」とよく言われてます。
(三):間引き方や間引きのタイミングで、生育にかなり影響しますからね。
モニターをお願いする以前は、堆肥の「ソイルメイク11」は使ってましたか?
(水):使ってなかったですね。
(三):「ソイルメイク23」だけでしたか?
(水):フォトシンセシスさんに土壌分析をお願いして、不足しているミネラルは入れていました。
(三):堆肥は土づくりをするセンイの多い堆肥(ソイルメイク23)と、長く効くチッソを持った「ソイルメイク11」の両方を使っていただくと良いと思います。
アミノ酸肥料を使うと、初期の生育が驚くほど良くなりますが、早く効くだけに、切れる時はストンと急になくなってしまうので。
生育を維持するには、長くじっくり効くチッソ分もあるといいですよ。
「ソイルメイク11」には、バチルス菌や放線菌といった善玉の微生物が豊富に含まれています。
カビを原因とする病気(ウドンコ病など、野菜の病気の原因の9割はカビの仲間が原因と言われている)や、センチュウといった、土壌病害虫を抑える効果もあるので、農薬を使わない有機栽培ではぜひ使って欲しい堆肥です。
(水):そうなんですね。今回の栽培では指導して頂いた通りに入れました。
それで長い期間、生育が良かったんですね。
(三):そうですね。効き目あったと思います。
水野さんは経験豊富で、フォトシンセシスさんの「農業実践教室」でも学ばれていますが、今後の課題や、挑戦してみたい野菜などありますか?
(水):課題は追肥ですかねー。今回も、最初は追肥していなかったんです。
三澤さんに言われて追肥するようにしたら、特にナスとズッキーニが良くできました。
食べきれないくらいとれています。
(三):キュウリもナスもトマトも、果菜類はとくに、うまく追肥すると長く多収穫できますね。
うちでもナスは今の時期(11月初旬)でも採れ続けています。
ただBLOFの注意点として、通常の化学肥料の栽培よりもは根がしっかり深くなるので、たくさん穫れるぶん、養分もたっぷり吸収します。
どんどん美味しい実をつけるので、そのぶん追肥も必要になりますね。
(水):色々教えていただいて、追肥の意味が良くわかりました。
(三):今は何を栽培されていますか?
(水):今は白菜・キャベツ・スティックブロッコリー・セロリ・シソ・ネギ・ほうれん草・小松菜・春菊・ラズベリー・イチゴ・キヌサヤ・大根・かぶ・ラディッシュ・バジル・ナス・パプリカ・ピーマンです。
(三):秋終盤に入って、その数はすごいですね!
ナスもオクラもまだ採れてるんですか?
(水):まだ採れてます。
(小):有機の経験は長いと思いますが、BLOF理論に出会って変わったことはありますか?
家庭菜園用として、いろいろ有機栽培の資材はあると思います。
一見どれも変わらないように見えると思うのですが、BLOF用の資材を使ってみて感じたことはありますか?
(水):BLOFの資材を使うようになって、有機栽培って簡単にできるんだ!と思いました(笑)。
皆さん、BLOFで管理すればもっと簡単に有機栽培ができるのにって思いました。
プロ農家さんも、家庭菜園も、簡単に、すごい野菜が作れてしまうと思います。
(三):BLOFではない方法で有機栽培をされている方たちは、水野さんから見てかなり苦労をされているように感じる?
(水):生産者さんでも、「大変だよ!」と言われる方が多いですね。
(三):虫とか病気の問題が大きいんでしょうか?
(水):よく聞くのは、「日本は湿度が高くてよその国とは違って有機はたいへん」っていう方が多いです。
虫がつくし、病気にもなりやすいって。
あとは、堆肥作りや土づくりの大変さについてよく聞きます。
生産者の方も、BLOFの有機栽培をやったら楽なのになあって良く思います。
(小):日本の有機栽培については、転換期に来ていると思います。
今までの勘と経験知ではなく、科学的理論で安定して品質・味の良い作物を有機栽培で作れるようにしていかなければならない。
そのためには消費者の声も大事だと思います。
家庭菜園でBLOF栽培をやっている方から、どんどん声を上げていってほしいですね。
(水):消費者の方が本当に良いものを選ぶ時代になってきていると思いますね。
消費者の声を、生産者にもっと届けていかなければならないと思います。
(小):新規就農者については、いきなり有機栽培をしたいと思って農業に飛び込んできて失敗する方も多いのが現状です。
家庭菜園レベルでBLOF理論を学んでから就農してもらえると良いと思います。
失敗せずに離農を防ぐことができると思います。
(水):小祝さんに同感です。
私も有機農業での新規就農者で失敗していった方をたくさん知っています。
きちんと理論を学んで小さな規模から広げていくことは大事だと思います。
家庭菜園を一つのプロセスにすることは非常に良いと思います。
家庭菜園で有機農業のすそ野を広げて、その中から失敗しない新規就農者が増えるとよいですね。
ただ、広い畑にBLOF資材をたくさん入れるにはコストがかかりすぎる、という誤解があるように思います。
家庭菜園の広さならBLOF堆肥も潤沢に使えるけど、広い農地すべてに使うのはなかなか厳しいという声があります。
きちんとBLOF理論を広めることによって、誤解を解いていく必要があると思います。
(小):JBFでは地域の原料を使って堆肥を作る指導もしています。
地域でよい原料があれば、それを良質たい肥化して使うのが一番です。
身近なものを利用しながら、BLOFの理論で栽培するということも、もちろん可能ですよ。
(三):それと、本当に安心でおいしくて、栄養価の高い野菜を、消費者自身ももっと求めてもいいのかなと思いますね。
(水):そうですね。みんなの意識が高まることで、本当に良い野菜を求める人、生産する人が増えれば、市場全体が変わってくると思います。
(三):そういう意味では、BLOFで家庭菜園をやっている仲間たちの声の発信が広まっていくといいと思います。
そうした声が、日本の農業をも動かす力にもなっていく、という夢も持ちながら、僕もBLOFで家庭菜園をやってます。
(水):春に出版される予定の本はノウハウ本ですか?
(三):そうです。
(水):BLOFで成功しているような方たちの域まで上がっていく入り口やきっかけになるような本になることを期待しています。
ノウハウだけでなく、植物や地球や有機農業に対する愛が感じられるような本になったらよいですね。
(三):ありがとうございます。いい本になるように、頑張って書いています。今は校正中で、もう少しで本文は完成になります。
来年、3/10の発売予定なので、またよろしくお願いします。
(水):ちゃんと理論を学べば有機家庭菜園は難しいことではない、ということをこれからも私なりに発信していきたいと思います。
(三):そうですね。入り口は決して難しいことではなく、初めて家庭菜園をされる方でも、すごい野菜をどんどん作られています。
誰でも楽しく栽培できるというところから紹介していきたいですね。
(水):出版楽しみにしています。
(三):今日はいろいろとお話しいただいてありがとうございました。
水野葉子さん プロフィール
1980年、立教大学文学部卒業。1988年、ミネソタ州立大学にて修士号取得。
元ミネソタ大学日本語講師。1995年にIOIA(国際オーガニック検査員協会)のオーガニック検査員講習会修了。
日本初のIOIA認定トレーニング・コーディネーターおよびIOIA公認オーガニック検査員資格取得。
1997年8月に設立したJOIA(日本オーガニック検査員協会)の初代理事長としてオーガニック検査の技術指導等に携わると同時にオーガニック食品の普及に力を注ぐ
(『オーガニック検査員・水野葉子の「家族と食べたい!」食品選び 本音と本気で語るいま食べたいもの、食べたくないもの』より)