土壌分析のススメ② 分析方法のよくある誤り/重量法ではなく体積法で行う
重量法に基づいて施肥しても効果は得られない
一般的によく行われている土壌分析は「重量法」というもので、乾燥した土100gに肥料養分がどのぐらい含まれているかを分析するものです。
しかし、堆肥などを多く施用してきた土では、土壌団粒が形成され、空気の相が増えて比重が小さくなるため、土が軽くなってきます。
その結果、化成で栽培してきた土と比べ、有機栽培の土は、同じ100gでも容積が大きくなります。
このことを考えずに重量法で分析してしまうと、気相の大きな土ほど、肥料養分が多く含まれていることになってしまいます。
結果、与える肥料の量は少なくて良いということになり、肥料不足に陥ることになります。
重量法による土壌分析の結果に基づいて施肥を行っても、「糖度を上げたい」「収穫量を増やしたい」「病害虫の被害に遭わないようにしたい」といった課題は解決しません。
土の重さではなく容積に根を張っている
根は土の重さに根を張っているのではなく、土壌の空間に対して根を張っています。
肥料を与える際も、たとえば畑1m2、深さ30㎝といった根の張る場所に、どんな肥料をどのくらい与えるかということが大切です。
このことから、土壌分析は、土の一定重量あたりの養分を調べても意味がなく、ある容積に対してどのくらい養分が含まれているかを調べる必要があります。
しかしこれまでは、採取した土の取り扱いなど、分析の容易さから、重量法による土壌分析が広く行われてきました。
有機栽培には体積法
実際の土は、本来の重さ、腐植の多さ、水の重さ、そして空気の層(気相)で決まります。
これを、重量だけで測ってしまっては、気相の部分は完全にわからなくなってしまいます。
良い土は腐食を多く含み、団粒構造が発達すればするほど軽くなっていきます。
重量法による分析結果は、実際の土の状態と、どんどんかけ離れていくことになるのです。
本来土壌分析は、根の張っている空間に、どのくらいの肥料があるかを捉えることに意味があります。
根が触れているのは、土の重量ではなく、周囲にある土です。
有機栽培では化成栽培に比べて腐植が多く、気相も多いことから、根が張る空間を丸ごと捉えることが重要です。